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2013年8月10日
僕は作業上、できるだけ治具は使わない。
インナーボディーにワイヤーをセットする時に、シリコン型に合わせて位置調整する時と、リップをカットする時に自作ガイドを使う以外は、ボディーをナイフやペーパーで削る時もリップを付ける時もフリーハンドだ。
たとえばリップの溝を切る時、ボディーを治具にセットして作業した方が正確だと思われるだろうが、僕はそうは考えていない。
なぜならば、ハンドメイドで本当の意味で均質なものを作ろうとすれば、僅かな個体差を微妙な位置合わせで吸収しなければならないからだ。
それに、究極的に作業効率を高めようとすれば、いちいち治具にセットする時間が無駄だ。
電動ハンドルーターにダイヤモンドカッターをセットし、個体差を考慮に入れながら目測で目標を決め、一気に切り込みを入れる。
この行程だけなら一個につき10秒はかからない。
50本のミノーに溝を切り、リップを装着するのがだいたい3時間だ。
松本師匠が言っていた「治具を使うといつまで経っても治具に頼る」という言葉を教訓にして、僕も治具を使うより正確で早い「手」を持てるように、ちょっと頑なに治具を使わないでやっている(笑)
僕にとってそれが「職人」である証だからだ。