ようこそゲスト様!会員の方はこちらからログインしてください。新規会員登録はこちらから。【300ポイント】プレゼント中!

HOME » BLOG - Sunset & Fishing 夕日好きのプロルアービルダー › 日常 › ホテガンを探せ!

BLOG - Sunset & Fishing 夕日好きのプロルアービルダー

ホテガンを探せ!

2014年2月10日

20140210_2002547.jpg

ホテガンの正体は...

 

うちは古い農家なので親戚が多い。
年に3度の祥月の法事と、数年に一度は3部供を唱える大きな法要が巡ってくる。
最近では、曾祖父の50回忌、曾祖母の33回忌も営んだが、どこまで続けられるかという不安はある。
だけどなかなか会う機会のない親類縁者と酒を酌み交わしながら昔話に花を咲かせるのは存外嬉しいもので、形は変わって行くかも知れないが、僕は出来る限り続けたいと思っている。

 

そんな親戚の中でも祖父の兄弟や従兄弟が80歳を超えてまだ存命で、彼らの昔話が実に興味深く面白い。
苦労話もするが、重ねた年齢がそうさせるのか不思議と辛い話しとしてではなく、どちらかというと滑稽な話しとして聞かせてくれるからこちらも相づちを打ちやすい。
中でも子供の頃に熱中した遊びの話題には、今では想像も出来ないほど豊かな自然や大らかな人情が織り交ぜられていて、いつまで聞いても飽きない。
「うなぎかき」という道具を使って干上がったため池の泥の中を探って鰻を捕まえる話は面白く、今も納屋の梁に「うなぎかき」はくくりつけられているから修理していつかどこかで試してみたいとも思う。
「もんどり」を使って小魚を捕る話も好きだった。手作りのもんどりもまだ何本か残っている。
サクラの頃に岸近くへ出てきたモクズガニをランタンで水面を照らして捕まえに行く話。
米ぬかをおくどさん(かまど)にかけたホウロク(素焼きの大皿の様な調理器)で煎って、小麦粉と混ぜて団子を作る。それを池に放り込んで寄せ餌にして数時間後。直径1m程の半月状の網を長い竿に取り付け、静かに底を手前に向かって引くと一度にドンブリ一杯もシラサエビが捕れた話。
大雨の後、細い水路を伝って水田に上ってきたモロコや鮒に鯉やナマズを捕まえて、甘露煮や蒲焼きにした話。
スイカを餌に鯉を釣ったり、ドジョウを餌に鰻を釣ったり、とにかく家の横が大きなため池だから、魚を捕まえる話しが中心なのだが、他にも大きな木の高い枝からぶら下げた巨大ブランコの話しや、何十本も松茸がかたまって生えていた話、アケビを食い過ぎて腹をこわした話、竹竿の作り方、弓矢の作り方、投網の打ち方、破れた網の補修の仕方、鳥や猪の解体の仕方等々...
実はこれらは僕も子供の頃、爺さんに手ほどきを受けて、「うなぎかき」と猪の解体以外は全部経験済みなのだが、捕れる魚やエビの数や大きさが桁違いなのだ。
きっと爺さんは僕に教えながら、昔より捕れないことをさぞかし悔しく残念に思っていたことだろう。
かつてはどれも娯楽というより生活の中の当たり前の光景か、もしくは空腹を満たすために必要な作業だったはずだ。
爺さんのそのまた爺さんの頃からの古い風習が、僕には羨望とともにキラキラと輝いて見える失われた楽園のように映るのだ。

 

「お前、ホテガン知らんのか?!」
「え、何それ?」
「モロコよりちょっと太い、鱗がギラギラした腹のボテッとした奴じゃが!」
「クチボソ?ゴシキ?タナゴ?」と、思い当たる小魚を並べるがすべて違うという。
「ホテガンはホテガンじゃ!」
何年か前の法事の時の話題である。
ならばと魚類図鑑を持ってきて、淡水魚のページを全て見せたが爺さま達はどれも違うという。
「モロコや鮒を釣ろうとしても、ホテガンが先に食いついてな、あいつニガくてマズいのに、嫌われもんじゃ!」
「どの池にもぐずぐずするくらいおった」というホテガンを、一回り年上の親戚のアニキは知っていると言うが僕より年若のものは誰も知らない。
うーむ、ホテガンホテガンなんだろな?
いくらため池堤防の改修工事が進んだとはいえ、外来種による食害や環境汚染が蔓延しているとはいえ、これだけため池の多い土地柄だからまだどこかに生きているのではないか?と淡い期待を抱いているのである。
来年は婆ちゃんの25周忌の法要だ。
なんとか爺さま達が生きている間に、ホテガンの正体を突き止めたいものである。

 

カテゴリー:日常