HOME » BLOG - Sunset & Fishing 夕日好きのプロルアービルダー
2013年10月24日
今年の渓流シーズンも終わったなぁ...
と、淋しがっておられる諸兄には申し訳ないが、わたくし、既に次の釣りのことで頭はいっぱいでございます(笑)
やはり今年も片手程度の回数しか渓流釣りには行けず、そんな愚痴をこぼすと「開発やテストはどうされてるんですか?」と心配して下さる方もおられますが、心配ご無用(笑)
僕は何でも屋のマルチアングラーなので、ルアーのアイディアが浮かぶのも、そのカテゴリー以外の釣りをやっている時の方が実は多いくらいで、検証もほとんど他のフィールドで事足りているのです。
渓流ミノーイングと青物釣り
ヒラスズキ釣りとメバル釣り
一見あんまり関係ないように思われるでしょう?
でもこれらは、僕の中では「完全に一致」なんですね(笑)
ジギングやっててミノーのアイディアが閃いたり、ワームでメバル釣っててヒラスズキミノーのアクションが浮かぶことは良くあることです。
同様に、メッキアジが好きなルアーの動かし方が渓流でも有効だったり、バス釣りの「動かさない」テクニックだって渓流に使えます。
この様に、釣りのメソッドさえも色んな釣りから縦横にヒントを得ることが出来ます。
だから、釣りが上手になりたければ、様々な釣りにチャレンジすることが近道であると僕は思います。
僕の仕事、ルアービルディングという分野に限って言えば、マルチアングラーであることは必須の要件として求められるのではないでしょうか?
ルアーを選ぶ時、その設計者やビルダーに尋ねる機会がもしあるならば、釣りの経験を尋ねてみると良いと思います。
恐らくパフォーマンスとフィッシングスキルは比例関係にあると思われます。
ルアーの外観は、また違った感性やスキルが必要ですけどね(笑)
2013年10月 1日
言っておくがこれは、松本功という早生の天才が20年以上前に作ったミノーである。
前回お見せしたcampbell仕様しかり、この世でまだ誰も、20年前の松本さんにさえ追いついていないのが、現在のハンドメイドミノー業界のレベルである。
ハンドメイド製品を商売にするということは、それで飯を食うと言うことであるから、どんなに良いものであったとしても、5個や10個じゃ食ってゆけない。
だからハンドメイドなんか趣味にしておけと、僕は口酸っぱく言うんだな。
数を求める状況になると、クォリティーはある程度犠牲にせざるを得なくなるから...
松本さんは釣具店を営みながら、傍らで制作が出来る境遇にあったのも圧倒的クォリティーに貢献したと思われる。
だとしても、今現在、故人の遺物であるホットショットを超えるものがないのは厳然たる事実で、自分も含めてそのテイタラクぶりに呆れるばかりだ。
カタクチイワシはソルトウォーターのルアーフィッシングに於いては重要なベイトフィッシュではあるが、通常はこんな小さなルアーは作らない。
大抵は、シーバスや青物を狙うためのルアーである場合が多いから、必然的に大きく重いミノーが求められるからだ。
では何の為に?と思うだろうが、僕に大好きなメッキアジ釣りを教えたのは松本さんだ。
何度か一緒に釣りに行ったが、僕が50mm前後のミノーでやっている側で松本さんは、細くて少し長いミノーで遠くまで飛ばしてバンバン釣っていた。
それがこいつだ。
その後、自分も細長いミノーをこしらえたのは言うまでもない。
シルエットや顔周りの造形は、マイワシでもワカサギでもなく、まさしくカタクチイワシ以外の何ものでもない。
ここでも得意のオリジナルスケールを制作して、側線から下は単目、側線より上はクロス目の鱗模様を表現している。
背中はトーンを抑えながら(あえて目立たぬように)ソフトチュールのマスキングが施されている。
実際のカタクチイワシは青黒い背中だが、何もマスキングしないのは手抜きをしているように思えるものだ。
だからあえて目立たぬように塗装したのだろう、というのが僕の想像だ。
目立たぬようにと簡単に言うが、それをコントロールできるビルダーを僕は他に見たことがない。
ポリカのリップがシェイピングされているのは、おそらくそのままでは狙った動きが出なかったからだと思う。
僕が見ても、あと0.5mmほどラインアイが低い方が泳ぎは出ると思われるからだ。
しかし同時にそれは、カタクチイワシ特有の受け口のシルエットを表現することとはバーターになってしまう。
そのコンマ5ミリに中に、僕は松本さんのチャレンジと葛藤を見る想いがするのだ。
日和佐の赤灯台に夕方4時頃着いて、それから日暮れまでの1時間ちょっとで二人で50匹以上釣ったのがとても懐かしく思い出される。
だから僕は今でもあの赤灯台で釣りをするのが好きなのだ。
たとえ釣れなくても...
2013年9月28日
やっぱりね、漁期の最終には行っとかないと寝覚めが悪いと申しましょうか、きっと夢に出てくるような気がして釣りに出かけました。
お気に入りの高知の美しい川ですが、水がないうえに寝過ごして10時到着のピーカンと、条件はのっけから最悪です。
どうせ出遅れたのならばと、探り残している最上流部から入渓。
水が透明すぎてなんだか釣れる気がしないが、少し婚姻色の出た小さなアマゴがヒット。
ロッドはダイワのシルバークリークの4ピースパックロッド。
大昔に竿菊釣具店で買って、その後、松本師匠に竹柄に再塗装してもらいグリップ交換したもの。
リールは3台目のカーボウィスカーSS600(超お気に入り)
このリール、あまり注目されないが、200gを切るコンパクトなボディーにジュラルミンギアを組み込み、アルミスプールにはトーナメントドラグが入っていて「チリンチリン」と良い音がする。
インフィニットが入っていないから当然メカニカルストッパーだが、この方がガチンと止まって剛性感たっぷりで僕は好きなのだ。
巻き上げ性能やドラグの良さは現代のリールのレベルに近く、糸撚れはまったく気にならないし、耐久性はむしろ現行品より上のような気がする。
カージナルやミッチェルも良いし、僕も使うがあちらは多分に情緒的。
古いものに感じるシンパシーと実用性能を高度に両立できるSS600が僕の中ではトップオブ渓流リールなのだ。
大森のマイコンSSの次に買ったリールだから愛着もあるしね。
源流は早々に見切って、いつもならアユ師がいっぱいで入れない下流部へ一気に移動。
でも、減水ピーカンではしぶいしぶい。
時々23~25cm程度のアマゴが釣れてくれるが、夏の渇水と台風の大雨が影響してか、抱卵期だというのにあまりデップリした奴はいない。
やっとコンディションの良いオスが釣れたので写真を撮る。
今日のダメだった点は、まずランディングネットを忘れたこと。
それから、久しぶりに銀鉛一眼レフを持ち出したらコンデジが糞に思えたこと(笑)
今シーズンは防水コンデジを使ってみたが、驚くほど良く写るのだけど、所詮はメモだ。
ファインダーでマクロプラナーの被写界深度の浅いリアルタイムの像を覗きながら、構図や露出を考えつつ、ここぞというタイミングでシャッターを切る喜びに比べたら、適当にレンズを向けて何も考えないでシャッターを切る作業にはまったく感動というものがない。
コンタックスのファインダーを覗いた瞬間、思わず声が漏れたくらいアマゴが感動的に美しかった。
同じ魚をコンデジで撮ったやつをモニターで見てもなんとも思わないけどね。
そういうことにあらためて気付いてしまい、来シーズンはまた、重い一眼レフをぶら下げて歩くことが確定したことが、もう一つのダメだったこと(笑)
その後、たいして魚は釣れなかったが、イノシシとにらめっこをしたのが面白かった。
10mくらいの距離で、お互い硬直して1分以上にらめっこ。
こりゃ埒があかないと思い、話しかけてみた。
「おいお前、見た感じ若者やけど中学生か?」
(...何も言わぬが縦に首を振る)
「わははー、やっぱり思った通りや、ほんで母ちゃんはどこや?」
(...何も言わぬが斜め後ろを振り向く)
「あら!お前、人間の言葉がわかるんか?」
(...じっとこちらを見る)
「なんか言うてみ?」と言いながらこちらが笑うと
(もうええわ、アホと付き合ってられん)
て感じで振り向いて、後ろの斜面をゆっくり登って行った。
ま、こんな感じで今シーズン終了です。
帰りがけにはメッキアジを狙ってみましたが1尾バラし以外はチビのチェイスのみ。
外道でコトヒキ、ヒラセイゴが釣れましたが車中にカメラを残してたので写真なし。
サーフへ移動しましたが、ゴンッと強いアタリが一度あるも正体不明。
その後、40cm級ヒラメがヒットするも引き波に翻弄されバレる。
こちらはこれからがシーズンだから、良い下見が出来ました。
サーフから見る土佐湾の夕暮れはとてもきれいでした。
2013年9月27日
遠来の友人と共にうどん屋巡り。
まずは近くの「上田製麺所」
ここは踏み切り横にあって目立つのだが、駐車場が無いものだから寄りにくいのだ。
しかし、一度食べればまた行きたくなる、すっきり透明なのにうま味の強い出汁とやや細麺の組み合わせは相性抜群(写真撮り忘れ)
次は、善通寺市から高松市へ引っ越して来られた「清水屋」さん。
讃岐うどんの源流たる中太麺スタイルを守りながらも、モチモチとした食感が何とも言えない幸せを連れてくる。
ちょっと甘めでイリコの良く利いた出汁は、類似の味が思い出せない独自性があっておいしい。
さて、だいぶ腹も膨れてきたけど、前回に続きここだけは行きたいとご所望の「一福」(いっぷく)。
言わずと知れた「奇跡の麺」と評される、細くて腰があって伸びる麺が絶品の超人気店。
いちど麺だけ買って帰った事があるけど、麺だけを食べて驚いた。
醤油も出汁もなくたっておいしい(笑)
もちろん出汁もうまいよ。
ちくわの天ぷらも取ってしまったんだな(汗)
もう腹一杯だが、せっかく香川に来たのだからと、とりあえず一般店の西の横綱とされる「おか泉」の場所だけでも見に行こうとなった。
ロバートデニーロ似の大将はゴッドハンドを持つ職人のひとりとして有名で、いろいろと忙しいからいつも麺を打っているわけではないので、大将の日に当たるとラッキーだ。
店の前まで来て、食わずに帰るのもなんだからと結局入店。
看板メニューの「ひや天おろし」だとボリュームがありすぎ、さりとて、あのめちゃ旨の天ぷらを食わぬのも癪だから、思い切って「ぶっかけ天」(写真参照)を二人で注文。
既に胃袋は拒絶反応をみせはじめているというのに、うどんをひと筋すすって驚いた。
驚きのあまり二人で顔を見合わせて「なんじゃこれは...」と、しばし無言。
もうひと口食べてそれは確信にかわる。
あとはもうずるずると、胃袋はもういらないって言っているのに、あまりに旨すぎて口と喉がもっとくれ!と、うどんをどんどん飲み込んで行く。
ここへは何度か訪れて、いつもとてもおいしいのだけど、今日はいつもの「おか泉」のそのまた上を行っている。
二人ともあっという間に完食、そして感動。
みれば今日は大将がいるじゃん!
さすがゴッドハンド!
さすが西の横綱!
まったく次元が違うとはこのことだ。
小麦粉と塩と水だけの食べ物がここまで感動を与えてくれるとは...
今日は「おか泉」の神髄を味わった気がした。
おか泉の大将おそるべし!!
2013年9月14日
以前から釣りに連れてってやると約束していた友人の息子が、夏休みを終えて大学へ帰る前に川へ行こうと、ようやくお気に入りの海部川へ出かけた。
くだんの息子とその友人を乗せ、途中でStill-Huntの楠本直樹と合流し南へ向かう。
9月に入り、少しひんやりし始めた恐ろしく透明な水をかき分けながら、若者が投げるのを後方から眺めている。
1人で入渓している時は、まぁまぁ本気で釣りをするが、最近はこういうのが楽しい。
それはきっと直樹にしても同じだろう。
彼は僕の知っている範囲では最も腕の立つアングラーだ。
しかも、彼の本分であるバスフィッシングは言うに及ばず、フライフィッシング(海も川も)もソルトの様々な釣りも、餌釣りでさえも、とにかくあらゆる分野で釣りだけは超一流の腕前だ(笑)
そんな彼もこの日は後ろからのんびり釣っている。
それでも僕と直樹の方がたくさん釣るわけだけれど、僕らが適当にやっているのを手本にしながら若者が真面目に川に向かって投げているのを見ているのが微笑ましくも楽しい。
そしてなによりも、そういう心境で釣りが出来るようになってきたことがありがたいと感じている。
帰りには久しぶりにメッキアジも釣って、そこそこに成長していることが確認できたから秋の楽しみがひとつ増えたというもんだ。