HOME » BLOG - Sunset & Fishing 夕日好きのプロルアービルダー
2014年3月 9日
今日は誕生日だった。
バースデーメッセージをたくさん頂くまで本人は失念しておりました(笑)
facebook、メール、メッセンジャーに驚くほどたくさんお言葉を頂き感謝しております。
お一人ずつ返信するべきではございますが、なにぶん多忙にて時間が取れません。
失礼ではございますが、この場でまとめてお礼をのべさせていただきます。
長らくご無沙汰している友よ、釣りに誘ってくれる友よ、健康を気遣ってくれる友よ、今年こそは邂逅を果たし旧交を温めようではないか。
ほんとうにありがとう。
さて、シェルミノー。
厚みのある貝のシートを貼ることから必然的にコーティングの厚みが増し、素晴らしいアピアランスとは裏腹に性能低下は避けられないと賛否両論があるのはご承知の通りだ。
実際、通常の作り方では俗説通りの結果となるのは僕も何度も経験済みだ。
今回は、発想を転換して設計を試みてみた。
僕が予想したとおり、塗膜の厚さのもたらすネガティブをうまく相殺して、非常にレスポンシヴなミノーが出来上がった。
いかなるコンセプトで設計されたのか、論理的に考えられる人はスペックからすぐに想像が付くだろう。
時折、泳がなくても良いから格好いい綺麗なミノーを作って欲しいと依頼がある。
しかし、それなら依頼先が違うと思うのだ。
もっと素晴らしいクォリティーのフィッシュカービングや造形作品を作られているプロフェッショナルが世の中にはいくらでもいる。
僕がやっているのは、ラインアイとフックアイを装備し、ウエイトでボディーバランスを取り、最後にリップを装着する釣りの道具だ。
だからシェルミノーといえども、僕は最高レベルの性能を目指す。
生活のために量産型ばかり作っていて、フルハンドメイドの腕が鈍っているのを実感してちょっと悲しいが、何十本かやってると、後半には元通りの感覚が戻ってくる。
なんとかコンスタントにフルハンドメイド製作に注力できる環境を作ろうと考え中の誕生日でした。
2014年2月17日
前にもちょっと書いたが、テレビを見なくなって2年になる。
実を言うと僕は、長い間自分が本来背負わなくてはならないものよりずっと軽いものしか担っていなかったという負い目があって、テレビ見るくらいならちょっとはちゃんとせーよ、と思ったのが直接の動機である。
しかしそうはいっても便利な世の中には誘惑がいっぱいあって、なかなか胸を張れるような生活もできないもんだなと、日々懺悔ばかりだ。
人にはそれぞれ相応の荷物の重さがあって、なんでもかんでも同じにするのが平等ではないのはいわずもがなだが、僕なんかはその平等をたてに軽い負担で責任を逃れて来てしまった。
だが近頃は、うまく逃れたつもりでもいつかは負うべき荷を架せられるのかもしれないなと感じている。
過酷な人生を生きた人の後半生は安穏に、気楽に生きてしまった人には重い現実や、あるいは命をもって精算するシステムがあるのではないかと時々思う。
中部、関東以北の雪害にあたって、報道や政治家が相応の責任を果たしていないと僕も思う。
オレンジの金柑がうららかに輝く土地に住む僕らにはどうすることもできないのだから、民意の代弁者達にはもっとがんばってもらわなくちゃ。
僕も少しは重い荷物を背負う覚悟は出来ているから。
ps.業務連絡
本日夜、ネットショップに商品を少量アップします。
途中になっていたものを仕上げたもの、デッドストックもの等なので僅少ですのでお早めに。
https://raytune.shop-pro.jp/
2014年2月14日
まず最初はラフスケッチからだ。
ここでは全体のフォルムと共に、ラインアイとフックアイのディメンションを確認する。
水平線に対してそれぞれのアイがどのくらいオフセットする仕様を選ぶかを決定する。
この3タイプは全長もマスもほぼ同じだが、動きはそれぞれに決定的と言えるほど異なる。
縦アイには縦アイの、横アイにはそれに適した設計があるのであって、縦アイ用に設計されたボディーのラインアイを横にしたって、それはもうミノーとして成立しない。
アイの位置や方向、直径はそれほど重要であって、ルックスの問題などでは決してないのだ。
また泳ぎには、ボディー全体の2Dフォルムのみならず、太さやテーパー、断面形状が大きく絡み、そこにウエイト配置という厄介な条件が加わるから、経験が浅いと何処を修正した結果として変化が現れたのかすら分からなくなる。
他の条件を同一にして、変化させたい部分のみを修正してテストしなければ意味が無いから、ボディーを設計するスキルを身に付けるまでには膨大な試作に耐える根気強さと注意深い観察力が不可欠だ。
ひとつやふたつ上手く行ったとして、なぜ好結果が出たのか?が論理的に理解できないと次作に結びつかない。
僕も極細から太いもの、ストレートにベンド型、リップの角度面積厚みと、数千の条件変化を体験してきてようやく外さないデザインが出来るようになった。
考え方やコンセプトは様々あろうが、僕のデザインの仕方は、まず泳ぐボディーをデザインすることが基本だ。
メインフィールドが流速の速い河川であるから、抵抗となるリップは最小限の面積に留めたい。
その上で圧倒的なパフォーマンスを獲得するには、「泳ぎたがるボディー」を作って小さなリップでもレスポンスする様に設計することだ。
大きなリップさえ付ければ、ミノーなんてものはそこそこに動く。
しかし、ミノーには適度な抵抗感や操作を加えた時の瞬時のレスポンスの早さ等、道具としての使用感が重要な評価ファクターになるのは言うまでもない。
大きなリップで「泳ぎたがらないボディー」を無理矢理に動かすデザインのミノーは、快適に使用できるスイートスポットが非常に狭く、レスポンスも鈍重である場合が殆どだ。
流速や操作入力に対する許容レンジが広く、激流でも泳ぎ、尚かつレスポンスの早いミノー、そして何より最高に格好いいミノーを僕は追い続けているのだ。
2014年2月10日
うちは古い農家なので親戚が多い。
年に3度の祥月の法事と、数年に一度は3部供を唱える大きな法要が巡ってくる。
最近では、曾祖父の50回忌、曾祖母の33回忌も営んだが、どこまで続けられるかという不安はある。
だけどなかなか会う機会のない親類縁者と酒を酌み交わしながら昔話に花を咲かせるのは存外嬉しいもので、形は変わって行くかも知れないが、僕は出来る限り続けたいと思っている。
そんな親戚の中でも祖父の兄弟や従兄弟が80歳を超えてまだ存命で、彼らの昔話が実に興味深く面白い。
苦労話もするが、重ねた年齢がそうさせるのか不思議と辛い話しとしてではなく、どちらかというと滑稽な話しとして聞かせてくれるからこちらも相づちを打ちやすい。
中でも子供の頃に熱中した遊びの話題には、今では想像も出来ないほど豊かな自然や大らかな人情が織り交ぜられていて、いつまで聞いても飽きない。
「うなぎかき」という道具を使って干上がったため池の泥の中を探って鰻を捕まえる話は面白く、今も納屋の梁に「うなぎかき」はくくりつけられているから修理していつかどこかで試してみたいとも思う。
「もんどり」を使って小魚を捕る話も好きだった。手作りのもんどりもまだ何本か残っている。
サクラの頃に岸近くへ出てきたモクズガニをランタンで水面を照らして捕まえに行く話。
米ぬかをおくどさん(かまど)にかけたホウロク(素焼きの大皿の様な調理器)で煎って、小麦粉と混ぜて団子を作る。それを池に放り込んで寄せ餌にして数時間後。直径1m程の半月状の網を長い竿に取り付け、静かに底を手前に向かって引くと一度にドンブリ一杯もシラサエビが捕れた話。
大雨の後、細い水路を伝って水田に上ってきたモロコや鮒に鯉やナマズを捕まえて、甘露煮や蒲焼きにした話。
スイカを餌に鯉を釣ったり、ドジョウを餌に鰻を釣ったり、とにかく家の横が大きなため池だから、魚を捕まえる話しが中心なのだが、他にも大きな木の高い枝からぶら下げた巨大ブランコの話しや、何十本も松茸がかたまって生えていた話、アケビを食い過ぎて腹をこわした話、竹竿の作り方、弓矢の作り方、投網の打ち方、破れた網の補修の仕方、鳥や猪の解体の仕方等々...
実はこれらは僕も子供の頃、爺さんに手ほどきを受けて、「うなぎかき」と猪の解体以外は全部経験済みなのだが、捕れる魚やエビの数や大きさが桁違いなのだ。
きっと爺さんは僕に教えながら、昔より捕れないことをさぞかし悔しく残念に思っていたことだろう。
かつてはどれも娯楽というより生活の中の当たり前の光景か、もしくは空腹を満たすために必要な作業だったはずだ。
爺さんのそのまた爺さんの頃からの古い風習が、僕には羨望とともにキラキラと輝いて見える失われた楽園のように映るのだ。
「お前、ホテガン知らんのか?!」
「え、何それ?」
「モロコよりちょっと太い、鱗がギラギラした腹のボテッとした奴じゃが!」
「クチボソ?ゴシキ?タナゴ?」と、思い当たる小魚を並べるがすべて違うという。
「ホテガンはホテガンじゃ!」
何年か前の法事の時の話題である。
ならばと魚類図鑑を持ってきて、淡水魚のページを全て見せたが爺さま達はどれも違うという。
「モロコや鮒を釣ろうとしても、ホテガンが先に食いついてな、あいつニガくてマズいのに、嫌われもんじゃ!」
「どの池にもぐずぐずするくらいおった」というホテガンを、一回り年上の親戚のアニキは知っていると言うが僕より年若のものは誰も知らない。
うーむ、ホテガンホテガンなんだろな?
いくらため池堤防の改修工事が進んだとはいえ、外来種による食害や環境汚染が蔓延しているとはいえ、これだけため池の多い土地柄だからまだどこかに生きているのではないか?と淡い期待を抱いているのである。
来年は婆ちゃんの25周忌の法要だ。
なんとか爺さま達が生きている間に、ホテガンの正体を突き止めたいものである。
2014年2月 7日
近頃、近所の野池で釣ってるアングラーの手元から「キーーン」って、どこから音出てんの?みたいな高周波音が聞こえることは知っていたけど、調べれば最近のベイトリールの進化はすさまじく、自重は150g近辺まで落ち、スプールの回転は2万回転を超えるというじゃないか...
一昔前、渓流でベイトリールが使えないかと試していた頃の感じでは、特に2g前後のフローティングミノー前提なら全く使い物にならねー、と言うのが偽らざる感想だった。
だけど、まだそれは面白そうという域を出ていなくて、実際に買ってまでやってみようと言うところまでは盛り上がらないんだなぁ。
ちょっと動画を見た感じじゃ、アキュラシーは「スピニングの俺だってあのくらいは楽勝だぜ」って感じだし、ベイトの初速がMAX160km/hてのは信じるとしても、スピニングが60km/hてのは、そうかなぁ?と思うし。
あとね、T3とかアルデバランとかも悪くはないけどさ、俺たちオッサンはやっぱりアンバサダースタイルでやりたいんだよね。
あーそうだ、タイトルから逸脱したからここらで戻すと、結局はルアーフィッシングはキャスティングゲームなんだよ。